植物検疫の歴史

我国では、四方を海に囲まれているうえ、江戸時代の鎖国政策により海外との貿易が閉ざされていたことが、病害虫の侵入を阻んできました。しかし、明治以降、リンゴワタムシ、ヤノネカイガラムシ、根頭がんしゅ病など多くの病害虫が輸入植物に付着して侵入し、農業生産に重大な脅威を与えることになりました。
このため、諸外国との農林産物の貿易に伴う病害虫の侵入・蔓延・拡散を防止し、我国の農業・林業生産の安全と助長を図るため、1914年(大正3年)に輸出入植物取締法が制定され植物検疫制度が始まりました。これら病害虫の侵入を水際で防ぐため、全国の主要な港・空港に農林水産省植物防疫所が配置され、日々、植物防疫官による検疫業務が行なわれています。
現在では、世界各国が、国際的な植物検疫の基準としての国際植物防疫条約(IPPC)に則した検疫制度を実施しており、我国も昭和27年にこれを批准しています。

植物検疫の現場

バラ積み穀類

専用船で輸入されるバラ積み穀類(小麦・大豆・コーン等)は、本船上で検査が実施されています。

穀類本船の荷役の様子ニューマーでサイロに搬入される検査を行う植物防疫官

青果専用船

バナナ・カンキツ・カボチャ等の青果物は、専用船から直接搬入された倉庫内で検査が実施されています。

青果専用船の荷役の様子バナナの検査カボチャの検査

コンテナ詰植物

コンテナ詰で輸入される植物類は、凍結植物・生果実・生野菜・種苗・穀類・木材・牧草・漢方薬等があり、多種多様を極めています。コンテナ詰植物は、卸下されたコンテナヤードで検査が実施されています。

コンテナ船の荷役の様子コンテナヤードの様子色とりどりのコンテナ
マンゴウの検査セロリの検査タマネギの検査
ランの検査アーモンドの検査乾牧草の検査

木材専用船

輸入木材は大きく南洋材・北洋材・米材及び特殊材に分類でき、それぞれの材種によって発見される害虫も独特のものがあります。木材は、本船又は水面貯木場で検査が実施されています。



植物検疫のご紹介